
提供:一般社団法人ビジネスモデル鑑定士協会
ビジネスモデル鑑定士は、
「定年」「早期退職」「人生後半」といったキーワードが気になる、おもに50歳以上の中高年サラリーマン
をイメージして作られた民間のビジネス資格です。
「会社員のままで終わりたくない。自分がどこまでやれるか試したい」
大なり小なりそんなことを考え、ときどき
- 独立や起業の情報を検索する
- 独立や起業の本を買う
- 独立・起業した知り合いに話を聞く
などの行動を始めている人に向いている資格です。
以下、中高年サラリーマンの独立・起業について説明します。
<目次>
- 中高年サラリーマンはなぜ独立・起業するのか
- 中高年サラリーマンの独立・起業とは
- スモールビジネスのビジネスモデル
- ビジネスモデル鑑定士協会について
- まとめ
1.中高年サラリーマンはなぜ独立・起業するのか
2000年以降、50歳以上の起業が増えているようです。
「起業」「スタートアップ」というと若手起業家の領域のように見られがちですが、実際には中高年の起業のほうが増えています。
50歳以上の起業が増えている理由は、中高年サラリーマンの人たちが「新しい不安」を抱えているためです。
「新しい不安」とは、長寿高齢化がもたらす経済不安のことです。
人生100年時代と言われるようになりましたが、人生が100年になったら、会社をリタイアした後も人生が30年、40年と続きます。
そんな長期間の生活を、退職金などの蓄えでカバーできるのか。
世の中的に、はたして年金が十分に支給されるかどうかも不透明です。
「足りない分は稼ぐしかないのでは」
そういう危機感が芽生えても不思議ではありません。
漠然と「新しい不安」を抱えているケースだけではありません。
景気低迷の影響などで自己都合ではなく会社都合の退職をした場合、リストラされた人が納得できる仕事が見つからないので「とりあえず起業」するというケースも見られます。
この場合、経済問題は将来の不安ではなく「今目の前にある課題」です。
経済問題だけではありません。
会社をリタイアした後も30年、40年と続く人生を、どうやって過ごすのか。
どこに生き甲斐を見出すのか、という課題もあるでしょう。
2.中高年サラリーマンの独立・起業とは

「まとまった資金を用意しないと独立・起業できない」
「独立・起業に失敗したら借金まみれになる」
独立・起業に対し、こうしたイメージを持っている人もいます。
世の中を変えるような大きなことに取り組むなら、そうかもしれません。
しかしひとくちに独立・起業といってもその規模やスタイルはさまざま。
初期費用やリスクの少ない起業もあります。
実際のところ、中高年サラリーマンが会社を離れて独立・起業するとすれば、
「ヒト・モノ・カネを集めていきなり大きな事業を立ち上げる」
といったケースはあまりありません。
ほとんどの場合、
- 1人での独立・起業
- 自己資金での独立・起業
となります。
したがって、スモールビジネス(規模の小さいビジネス)になります。
中高年サラリーマンの独立・起業には、上に述べた「スモールビジネス」であることのほか、
- やりたいことをやりたい
- 健康でいたい(老けたくない)
- 社会貢献がしたい
- 薄く長く続けたい
といった気持ちがこめられています。
やみくもに事業を拡大して大金を得たいというよりは、
「サラリーマン時代に経験した『組織の理不尽さ』を排除したい」
「社会と関わり続けたい」
「人間らしい生き方をしたい」
「自分らしい生き方をビジネスを通じて表現したい」
そんな思いがあるといえます。
さて、ここで重要なのは
「スモールビジネスは会社組織のビジネスではない」
ということです。
中高年サラリーマンがこれまで勤めていた会社は、それなりの規模のある組織のビジネスです。
スモールビジネスではありません。
会社組織のビジネスとスモールビジネス、何から何まで違うというわけではありませんが、かなりいろいろ違います。
このことは、心にとめておきましょう。
3.スモールビジネスのビジネスモデル
「ビジネスモデル」とは、端的にいえば事業の構造を表す言葉です。
この言葉は今でこそかなり普及した感がありますが、実際にはそれほど歴史のある古い言葉ではありません。
1980年代までは、ほとんど使われることがありませんでした。
この言葉がビジネス社会に登場するようになったのは1990年代、それも半ば以降のことです。
つまり「ビジネスモデル」という言葉を人々が使うようになってから、まだ四半世紀しかたっていません。
しかし「ビジネスモデル」という言葉こそなかったとはいえ、あらゆる住宅に構造があるのと同様、あらゆる事業にも構造があります。
たとえばおそらく江戸時代にはすでにあった蕎麦屋ですが、蕎麦屋と聞けば、
「蕎麦粉を仕入れ、蕎麦を打ち、ざる蕎麦やかけ蕎麦にして顧客に出し、お金をもらう」
という事業の構造を、ほとんどの人が想像するはずです。
では、なぜ「ビジネスモデル」という言葉が比較的最近までなかったのでしょうか?
それは、それまでたいがいの事業の構造が前述の「蕎麦屋」のようにシンプルで分かりやすいものだったため、わざわざ説明する必要がなかったからです。
「蕎麦屋」「カフェ」「クリーニング店」
といった「一言」で、ビジネスの構造を表現することができたからです。
ところが近年になり、テクノロジーが高度に発達するにつれ、複雑な構造の事業が誕生するようになりました。
「○○屋」「○○会社」といった一言だけでは説明できない事業が次々と出現するようになります。
とくにITインフラが爆発的に広がった以降(1990年代半ば以降)、その傾向が加速されます。
たとえば
- FACEBOOKとは何屋さんでしょうか。
- クラウドファンディングの会社を「○○屋」と表現することはできるでしょうか?
なかなか一言で説明するのは難しいと思われます。
この複雑化の傾向はいまも続いています。
新しく登場するビジネスモデルはますます複雑化することでしょう。
こうした未来を前向きにとらえ、それぞれの事業を成功へと導くためには、日ごろから
「ビジネスモデルに敏感であること」
が求められます。
というのは、同じような商品・サービスを扱う事業であっても、ビジネスモデルの良し悪しにより結果が異なってくるからです。
これはスケールの大きな事業であれ、スモールビジネスであれ、変わりありません。
4.ビジネスモデル鑑定士協会について

ビジネスモデル鑑定士協会は2017年に活動を始めています。
じつは…最初のころは、文字どおり「ビジネスモデル」を「鑑定」する人を「ビジネスモデル鑑定士」と呼びたい、と考えていました。
- クライアントから「わが社のビジネスモデルを鑑定してほしい」という注文を受ける。
- ビジネスモデル鑑定士がクライアントの企業を訪問し、視察やヒアリングをする。
- その結果にもとづき、ビジネスモデルの「鑑定書」ができあがる。
イメージしていたのは、そんな流れです。
「鑑定書」には「ビジネスモデル鑑定士 〇田△郎」というエンボス(文字や絵柄などの浮き彫り)をつけたらカッコイイんじゃない?
そんな議論が関係者のあいだで盛り上がりました。
ですがこのアイデアは、後日、冷静になった関係者の1人が何回目かの会議のときに
「そもそも、なんでビジネスモデルを鑑定する必要があるんだろう?」
という疑問を口にした数秒後に、ボツになりました(笑)。
「ビジネスモデル鑑定士」という言葉に思考が囚われていたことに、関係者全員が気づきました。
その後、さまざまな紆余曲折を経て、現在、ビジネスモデル鑑定士協会では、「ビジネスモデル鑑定士」を以下のように定義することで議論が落ち着いています。
「ビジネスモデルの知識を、スモールビジネスに応用できるスペシャリスト」
5.まとめ
人生100年時代(長寿高齢化)がもたらす経済不安や生き甲斐需要から、中高年サラリーマンの独立・起業が増えています。
中高年サラリーマンの独立・起業はほとんどの場合、スモールビジネスです。
スモールビジネスは会社組織のビジネスとは異なるため、同じ感覚で進めることはできません。
ビジネスモデルを考えることの重要性は、スモールビジネスにおいても高まっています。
こうした背景のもと、ビジネスモデルの知識を、スモールビジネスに応用できるスペシャリストであるビジネスモデル鑑定士の活躍の場が増えることが期待されています。